THE FURNITURE

––循環するコモンズたちの都市––

都市は様々な属性、職業、趣向を持つ人々が混ざり合いながらコモン(共同的なもの)を享受し、またコモンを生み出す場だと考えることができます。また、街の経験を構成しているコモンズとして、普段は意 識することのないであろう空気や匂い、音、植物や生物、そして建物を構成する素材やイメージまでも含めることで、人と環境、そして非人間的な存在が媒介する街の姿を浮き彫りにできるのではないでしょうか。本プロジェクトは、この都市のコモンズ(共有物、共同的なものたち)を、複数のアート(技術)によって可視化し循環させることで、街の潜在的なネットワークを表現することを試みます。


第一弾となるTHE FURNITUREは、明治から昭和にかけ虎ノ門・新橋エリアで洋家具(芝家具)の生産が盛んだったという歴史に着目し、世代交代によって薄れつつある街の記憶を起点にコモンズを浮かび上がらせます。芝家具を生み出してきたかつての技術、素材、デザイン、生産体系を参照し、街の中に潜むコモンズを、街の中での人々の独特な振る舞いを模倣する家具のようなものとして定着させます。当時の家具は複数の職人による分業制で生産されており、そのことが地域内に独自のコミュニティ、生態系を形成していました。同様にアーティストの個人制作と共同制作を組み合わせ、本来であればバラバラに存在して いるコモンズたちの結節点として家具を位置付けることで、変わりゆく現在の街に新しい循環、コミュニ ティの可能性を示します。加えて個人制作と集団制作の両面を併せ持つ家具は、個人に還元される現在の アートのあり方を問い直し、街とアートのこれまでにない関わりを模索します。

参加アーティスト:碓井ゆい、白木麻子、中村裕太、ホンマタカシ 

開催期間:2018年1月末~2019年2月末

主催:森美術館、森ビル株式会社

企画協力:川勝真一(建築リサーチャー、RAD)


撮影:田山達之

まちと美術館のプログラム「THE FURNITURE – 循環するコモンズたちの都市 –

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